今日は猫の扁平上皮癌についての話です。
扁平上皮癌は多くは高齢の猫の口腔内・眼瞼・耳介などに発生する悪性腫瘍です。
扁平上皮癌は、発生した部位に炎症やただれ、潰瘍、しこりなどを形成し、
最初は炎症反応と区別することが難しく一般的な治療を施すも反応が見られず
がんが進行するにしたがって、その部位の機能を障害するようになります。
特に問題となるのは口腔・歯肉・口唇部に発生した場合です。。( ゚Д゚)
口腔内のただれや潰瘍、しこりで病理検査をされた検体のうち35%は炎症性疾患ですが、
その次に多いのが22%を占める扁平上皮癌です。
(Veterinary Oncology No.8より引用)
もちろん病理検査をせずに改善している病変も多くあるでしょうから必ずしも、、、ですが
口の中に病変があった場合最も恐れるべきは「扁平上皮癌」だと思われます。
これは数ある腫瘍の中でも最悪な腫瘍の一つといっていいと思います(*_*)
過去の報告からすると、現時点では口腔内扁平上皮癌の治療は非常に困難です。
我々の大きな武器である3大治療①外科手術、②放射線治療、③化学療法を
組み合わせても中央生存期間は約3ヵ月。
1年生存率は約10%とされています。
いまのところ打つ手なし、といった状況ですが
発生した部位によっては長期生存の可能性が出てきています。
下顎に発生した扁平上皮癌については、下顎切除+放射線or補助療法で
1年生存率が43~57%という報告もあります。
また両側下顎全摘出術という積極的な外科手術では2年をこえるような長期生存も複数報告されてきており、
今後の可能性を感じさせます。
しかしながら、下顎全摘出では胃瘻チューブが生涯必要になることや
口腔内の乾燥や汚れに対し定期的なケアが必要なことなどが問題点となっています。
現段階では根治が困難な扁平上皮癌ですが、何も出来ることがないというわけではありません!
猫ちゃんの口の中に何か異常を見つけたり、猫ちゃん自身が口を気にしているような場合は
なるべく早くお近くの動物病院で相談してくださいね☆
あきらめるのではなく、猫ちゃんの痛みをとってあげたり、栄養治療をしてあげること、
生活の質を向上させるためのお手伝いは獣医師の責任だと思います、いつでもご相談ください!
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